見出し画像

【インタビュー第4回】鳥取県米子市 河田酒店 河田雅樹さん

2022年07月26日

天穏にまつわる人たち

【第4回】鳥取県米子市 河田酒店 河田雅樹さん


河田酒店(かわた酒店)

〒683-0014 鳥取県米子市永江102

河田酒店HP(ネットショップあり)

facebook

instagram

燗酒の聖地のようなラインナップに加え、ナチュールワインも揃える酒屋さんです。

河田さんは山陰の燗酒業界ではアニキと呼ばれるくらい造り手目線の優しいお兄さん。

ぜひ実際に足を運んで相談しながらお酒を選んでみてください。



小島:店内を見渡すと、ものすごい種類のお酒がきれいに並んでいます。
河田さんはひとつの酒蔵の製品をほとんど全て揃えて扱っていますね。
私は色々と新しい製品を出すので、このように厚く取り扱っていただいていて本当に嬉しいです。

ひとつの酒蔵につき2~3種類のレギュラー製品を置く酒屋さんが多いですから、新たな冒険として造ったお酒が届かないことも多くあります。
そうなると酒蔵の現在を明確に伝えることが難しいので、河田さんのように扱っていただけると造り手としては大変ありがたいです。


1つの酒蔵の全種類を扱って飲むとなると、味や香りだけではなくその背景というか、蔵の風景や造り手の性格なども見えてくるんですか?


河田(以下、括弧は河田さん):「先輩の酒屋さんに2~3種類でその酒蔵のクセがわかるからって言われたこともあるけどね。」


「いまの天穏もワインもみんなそうじゃないですか、その酒の背景に思いを馳せながら飲むことが楽しいし。
その背景をお客さんに伝えると喜んでくれますしね。」


はい、そうなると楽しめる時間も増えますもんね。その味から造った人の意図やラベルの意味を考えたり。
いまはジャンルや流行、ラベルから飲まれることが多くなりがちです。
もっと酒の内側からラベルや言葉が現れるような表現がもっとあってもいいですね。



「もちろん最初の頃は味や香りから背景を想像することは難しいから、そこを伝えるのは酒屋の仕事で、その蔵の酒の飲む順番とか、飲み方とか演出をしてあげて、お客さんに楽しんでいただけたらと思っています。」


伝えたい事があっても、それは身振り手振りの言葉ではなかなか伝えられない部分が多々ありますね。
だから想いをお酒という形に具現化して、みんなに伝わるようにしている。
それがものづくりの本質でもあるし、酒の中身とそこから現れる意匠からその人が何を伝えようとしているかを想像することは、人と人、人と自然界をつなぐ上でとても意味のあることですね。


「以前から「なぜ人は酒を作って飲むのか」って言ってるもんね。」


天穏の印象というか特徴はどんなところだと思いますか?


「お客さんに聞かれたときには、飲む人を選ばない、お酒の初心者の方から、ひと通り飲んできた玄人の方でも満足させる懐がある酒って紹介するかな。
そして飲む温度帯もこうじゃなきゃってことがないしね。」

「ずっと飲めるし使いやすいよ。贈答用なんかでも相手の好みがわからないときにもいいし、そこからずっと天穏をリピートしてくれるお客さんも多い。
ひと通り飲んでみたいって人も最終的に天穏になるし、純米酒を飲んでみたいって人の最初の1本に進めることが多いです。」


お客さんとしては、その酒屋さんに通うかどうかの判断を1本目を選ぶやり取りの過程と結果で決めるから、1本目の印象って大事ですよね。


「本当は2~3本目に良いのを選ぶのが酒屋としてテクニシャンなんだろうけど、1本目から全力投球でいちばんいい酒を選んじゃいますね。
それがリピートにつながって、次にまた選んでくださいって来てくださるときには、1本目がいちばん良かったんだけど、次どうしようって笑。
つぎにいい酒を紹介して、ワインも紹介して、だんだん信頼関係が生まれて通ってもらえるようになると嬉しいです。」

「天穏は大勢で飲めるのもいいよね。色んな人がいるだろうし、いろんな飲み方をしたい人もいるだろうし。」


いま天穏は、群れになる酒、イトナミをつくる酒が理想だと思っているのでリピートになるのは嬉しいです。
継続できる、関係性が続く酒になって良かったです。


「大事なお客様が来るからって日本酒が欲しいという時に天穏を紹介して、それですごい喜んでいただけて良かったって、それで信頼関係ができて、とても良かったです(河田さんの奥様)。」


河田さんが天穏で好きな酒はなんですか?



「パって浮かんだのは天雲だね。天雲が好きだなあ。
けっして低アルが好きなわけじゃないんだけど、飲みあたりが体にしっくりきて、なじみがいいし、物足りなさもない。」

「日本酒選びもワイン選びも造り手選びだから。信用できる造り手のものをずっと飲みつづければその人の想いが見えてくる。
単品じゃなくて、何年も飲み続けることに意味があると、最近になってそんなことを気付かされました。」


ほとんどの酒蔵さんと付き合いが長いですもんね。山陰の造り手が知りたかったら河田さんに聞くのがいいですね。


「まだこの形態にして11年位だけどね、まえはコンビニだったから。
よく10年持ったなって。だから最初はお客さんが全然こなくて…。こんなことをしてて良いんだろうか?って思わなかった日はなかったです笑。
やり続けることの大切さですね。」

純米魂もまたやりましょう。アニキ、ありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?