日本酒ってなあに?最終回

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今までの日本酒ってなあに?1~5で、日本酒とは何かを探り、答えを見つけました。

日本酒の定義


1.税法上の酒としての日本酒(米、米こうじ、水を原料として発酵させて濾したもの)

2.日本酒とは、日本人を祖先にもち、日本の伝統文化と風習を有する人たちの酒。

3.日本とはイネの水耕栽培が始まってからの日本国のことを指す。

4,日本の伝統文化とは、神様からもらったお米を酒にして、神様にお供えすること。

  そのお酒を御神酒と呼び、飲むことで群れを成し、群れの力で未来を創造してきた。

 

いろいろな言い方、書き方があると思うので、自身が納得していればどんな言葉でも大丈夫ですよね。

 

自分の造る日本酒がもしこれらを満たしていれば、私は自信を持って人に勧める事ができるし、迷い無く酒を造ることが出来ます。

 

答えはそれぞれ。

それで良いのです。

 

いとなみの発見

日本酒ってなあに?を振り返ってもめんどくさいですよね。

 

日本酒ってなあに?1

日本酒ってなあに?2

日本酒ってなあに?3

日本酒ってなあに?4

日本酒ってなあに?5

 

 

こんなにあります。

理解するのも大変ですよね。

 

こんなもの、説明する方も、理解する方も大変です。

これを何時間も説明しなければいけないのか。

考えなければいけないのか。

 

せっかく答えを見つけたのに、これを人に説明して理解してもらうには長い時間が必要なことを知り、私は絶望しました。

 

もうコンビニチキンでストロングチューハイ飲んで、アクション映画を観て、

カップ麺食って、乃木坂みて、脳を使わず、

そのまま酔いつぶれて気絶して永遠の眠りにつきたいと思いました。

 

そんな悩みを抱えて生きていたある日、釣りに誘われ、ぼーっと船上で釣りをしていました。

 

出雲の山と海を見てまどろんでいる時。

 

心が無になっている時。

 

私は無意識に、ある言葉を発していました。

 

 

 

 

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ああ…いとなみだなあ…

 

いとなみ?

 

ああ…

 

営みだったんだ。

 

日本酒とは営みだったんだ!!

 

人が過去も、今も、未来もずっと続いていくようにと願うその言葉は

 

営みだったんだ!!

 

日本酒とはなにか?このクソめんどくさい悩みは

たった4文字しかなかった

 

い・と・な・み

 

日本酒とは、日本人の営みを形にしたものだったんだ。

 

私は偉大な発見をしてしまいました。

日本酒業界のコロンブスになったと思いました。

 

それから私はアロハ~としか喋らないハワイアンのように、まいど!としか言わない関西人のように、

「イトナミ」としか喋れない、イトナミ族になってしまいました。

 

笹しか興味のないパンダのように、野球にしか興味のない大谷くんのように、

私は営みを形にした物事にしか感動しなくなってしまいました。

 

営みを形にしたもの、人が生きて死んで、子供が生まれて、それが永遠に続くように願われたその姿は現代でもたくさん残っている。

 

日本人の営みを酒にしたものが日本酒

踊りにしたものが能や相撲

詩にしたものが民謡、和歌、俳句

博物館や美術館に行くと、人と自然の営みを形にしたものが展示され、その営みの歴史を伝えていました。

 

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自分が両親の営みの形であることにも気付きました。

 

営みを表現したものが伝統となり、文化となり、過去の人々に想いを伝えていました。

 

営みという概念が、人を生かし、回していたのです。

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そして同時に、私が今までこだわり続けてきた日本酒に関しても変化が起こり始めました。

 

営みさえ表現していれば、日本酒じゃなくても良くないか?米じゃなくても良くないか?

日本の営みを表現した農作物や原料で酒を造り、日本の営みを回すことができれば、米でなくても、日本酒じゃなくてもいい。

 

酒蔵は米と酒で地域の営みを回す所だったではないのか?

大事なことは営みという価値観だと。

 

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日本酒と言えなくても、日本の営みを表現していれば、それは日本の酒なんだと思うようになりました。

 

そうして私は、日本酒専門の杜氏から、日本の営みを表現する酒を作る、醸造家へ向かうことを心に決めました。

私の考えを酒という形にするため、板倉酒造ではリキュール免許、その他の醸造酒免許の取得しました。

 

頭ではなく、心で営みを理解し、体感したいのです。

 

今後は日本酒「天穏・無窮天穏」に加え、リキュール・その他の醸造酒部門「イトナミブルワリー」を開設し、日本の営みを表現していきます。

 

この事が良い事かどうかはわかりません。

新しい品目の製品を良いと思う人もいれば、日本酒だけに専念しろという人もいるでしょう。

 

私はいままで誰よりも過去と向き合って酒造りをしてきました。

齋香、無窮天穏、サーガ、KODANEと見ていてくださった方々には十分に伝わっていると信じています。

 

過去と現在をつなげる酒造りをしている私が予見する未来の酒は、日本の営みを表現する酒です。

私は、天穏とイトナミブルワリーであらゆる営みの形をつくりだし、過去と未来を守ります。

よろしくお願いいたします。

 

2021.6.30 小島達也

 

余談 営みの味、アミノ酸

 

営み、イトナミ、いとなみって抽象的なことばっかり言って、具体的に何なんだと思われる方もいるでしょう。

 

営みとは永続に続いていく様をいいますね。

 

我々、ホモサピエンスが生き延びた理由は群れになれることでした。

私たちは群れにならなければ死んでしまうのです。

 

営みを感じるには群れが必要です。

群れとは何でしょう。

 

それは他者が存在しているということです。

 

人は人がいないと人間にはならない。

他人がいないと生きていけない。

 

生まれた時、親がいないと生きていけない。

生まれても、他人がいないと、名前を与えられないと、話しかけられないと、子供は死んでしまう。

 

虫も、草食動物の群れも、鳥の群れも、イワシの大群も、ヒトの細胞も単独では弱い存在です。

群れでいることで生きています。1人で生きられのはゴジラレベルの存在だけです。

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だから誰もが他人を欲し、自分の存在を認めてほしい、あなたと群れになりたいと思っています。

人間の幸福は、自分が所属する群れの中で重要な役割を果たしていることを感じられるかどうかだと言われています。

 

その心の隙間を埋めるものがアミノ酸です。

 

アミノ酸とはタンパク質が分解されたものです。

タンパク質とは有機物です。

有機物とは生命です。

生命は他人です。

群れになれるかもしれない存在です。

 

アミノ酸は生命の痕跡。

他者の存在を証明する物質です。

 

私たちは味覚としてアミノ酸を感じると他人を察知し、群れの可能性を感じ、生存本能を満たされ、幸福感を得ているのかもしれません。

日本ではアミノ酸を旨味と表現し、出汁や発酵食品をその代表として捉えています。

 

昆布だしは昆布の生きた痕跡を水に溶け込ませたもの

かつお出汁はカツオの生きた痕跡を水に溶け込ませたもの

鶏ガラスープは鳥の生きた痕跡を水に溶け込ませたもの

味噌や醤油は大豆と麹菌の生きた痕跡を水に溶けこませたもの

日本酒は米と麹と酵母の生きた痕跡を水に溶け込ませたもの

 

そこに生命の痕跡を強く安全に感じれば感じるほど旨味を感じる(美味しい)のかもしれません。

寄せ鍋とかうまいですもんね。締めの雑炊とか営みまくってます。どれだけの他者が溶け込んでいるんでしょう。

 

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タラレバの余談でした。