H30BY 無窮天穏 齋香 さけ
#Concept
【H30BY】無窮天穏 齋香 さけ 生酛純米吟醸 佐香錦
27BYから始まり、四年目の齋香です。四年目の大きな変更点は三日麹と全量一火にしたことです。
すべて一火にしたことに関しては、現在の吟醸造りでは二回の火入れが不要になってきたという点を感じていました。
天穏の中でもガチガチの山陰吟醸造りをして、なおかつ繊細な佐香錦を使用している齋香。
二回火入れは過剰火入れとなってしまい、焼け感、やけどのような火当ての味が美しい味わいとミスマッチになってきている実感が強くなってきたため、全量加水一火に変更しました。
一火にした結果、素直で純粋にコンセプトが伝わるような酒になったと思います。2火もまだありますので、同時並行で販売していこうと思います。
齋香の製造にいたる経緯、詳しいコンセプトはさらに下へ。
#Tasting
エステリーな芳香、イソアミル、米麹の甘い香り、酸と・乳酸の香り、鼻腔に浸透するような複合的な香りがします。
澄んだ透明感ある米と米麹の旨味に酸がしっかり絡みます。 苦渋とともに余韻となり、深い麹の味わいが浸透していきます。
香りと味わいともにアルコール感がまだありますが熟成で解決していくでしょう。
#Information
原材料名 | 米・米こうじ |
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原料米 | 奥出雲産佐香錦 |
アルコール | 15.7度 |
精米歩合 | 60% |
なぜ人は酒を造るのか、なぜ人は酒を飲むのか。
そのことが分かっていれば酒造りや蔵の方法性などあらゆる場面で正しい判断ができるのではないかと 日々、漠然と考えていました。
そんな時、呑み切り会で講演していただいた万九千神社の錦田宮司にお会いして話を伺い、さらに民俗学者の神崎先生のお話で酒造りの本来の意味が分かってきました。
米は食料であり金であり富の象徴です。
日本人は米を主食とすることを悲願とし、努力し、祈ってきた民族です。過去の稲作の過酷さは想像に難しくありません。
天候に収量が大きく左右される稲作において、米は人知が及ばない自然の恵みです。最終的に人間が出来る事は神(自然)に豊作を祈ることだけだったと思います。
その祈るという行為を最も形として表したものが酒です。
自然の恵みである米を人の手によって酒にして、その酒を神に供え、恵みを感謝し、豊穣を願い、お祭りをする。 酒のほかにも様々な御供え物があったと思いますが、日本人にとって最高の食材は米であり、米(食)、もち(保存食)、酒(飲物)の3つは最高の御供え物です。
特にその中でも人の手がかかり、神聖なものとされているものが酒で、微生物を知らなかった時代では失敗の可能性もあり、酒も稲作と同じように神秘の世界です。
自然の恵みを用い、神の力を借りて米を酒にする酒造りは、日本人が神様や自然に対して出来る最高の行いである。そういっても過言ではないような気がしてしまいます。
神崎先生のお話で酒の「さ」は「齋」。「け」は「食、香、供」だという話がありました。
「齋」は清浄な、無垢な、神聖なという意味があり、「食、香、供」はそのまま食べ物、供え物の意味があるそうです。
色々な説があると思いますが、清らかな御供え物。酒造りの職人としてこれ以上ない非常に納得のいく名前です。
「酒造りとは豊穣や繁栄を願った日本人が、神や自然に対して出来る最高な行いであり、そうしてできる清らかな御供え物が齋香である。」 私このことが自然に素直に頭に入ってきて、どんな酒をこれから造っていくか見えてきました。
人々の祈りや想いの代弁者として、その年の米を使い、清らかな酒を造り、それを自然に返す。
このことこそ酒造りの本質であり、そうしてできる酒が齋香であると思いました。 齋香(さけ)とは祈りの行為であり、最高のお供え物。だから最高に手をかけて清らかな酒を造る。
そして天穏とは天のように穏やかな酒。天が穏やかにと願う酒。それは齋香をつくり豊穣や繁栄を願う事と同意です。天穏は齋香を造る蔵になります。
神の御下がりの齋香を飲むことによって自然の力を取り込み、気が晴れ、心が浄化され、酔い、その効果で身分や年齢、性別を超えて互いに 直り合い日々の生活における地域の人間関係の円滑を図る。
米と酒を通じ、人と自然の調和を図ることが本来の酒蔵の大きな役割なのかもしれません。
27by齋香 2016年酒販店案内文より転記