天穏の飲み方
天穏の飲み方
前提として日本酒の飲み方は自由です。
ここでは天穏をより美味しくのめる飲み方、こうして飲むと面白いよという提案をしたいと思います。
◎保管について
天穏は常温保存が可能です。グルコース(糖分)が低いことと酵母由来のアミノ酸が低いため酒の劣化がほぼありません。
開栓の前後問わず、熟成の変化を楽しみたい場合は常温で、フレッシュな状態を保ちたい場合は冷蔵庫で保管してください。
またワインのように5年10年20年以上の熟成も可能です。その場合は5度前後で安置熟成していただけるととても良い熟成酒となります。
※生酒は冷蔵してください。また30度以上の環境、紫外線が当たる環境は例外です。
◎温度帯
天穏は冷から燗、幅広い温度帯で楽しむことが出来ます。
繊細なニュアンスやバランス、奥行きや余韻を感じる場合は15~20度程度の冷や(常温)で。
料理や気分に合わせて酒を冷やしたり温めるするとより料理との親和性が高くなります。
常温では繊細なバランスと味わいの時間の長さ
冷たい場合は香りや涼しさやキレが増します。
温める場合は酸やアミノ酸がより活性して旨味が増します。
極端に冷たい温度、極端に熱い温度は酒の味がわからなくなるため、おすすめしません。
程よい範囲で楽しんでいただければと思います。
◎器
天穏は様々な要素を酒に溶け込ませ、さらに完全無濾過で製品化しています。
酒は熟成具合、温度、器、飲む人の経験値など様々要因で味わいが変化します。
そのため器一つでも大きく味わいが変化します。
器の中でも特におすすめなのがある程度大きく、まるくて口が大きい器です。
茶碗、煎茶用の湯呑み、ワイングラスなどがおすすめです。
これらのグラスは酒と同時に多くの空気が口の中に入ります。その空気が酒をより感じやすく、柔らかく、繊細にしてくれます。
料理との相性も良くなります。
杜氏がテイスティングに絶大な信頼を寄せる渡辺隆之氏の器
酒の味わいを強く感じたい場合は湯呑みやそば猪口など、縦長の深さのある器や、重さのある器をつかいます。
これらは空気が口にあまり入らないため酒の味がダイレクトに伝わります。
このように器の形状、重さ、材質で酒の味は大きく変わりますので、同じ酒で違う器を試してみると大きな発見があると思います。
◎酒の飲み方
酒の飲み方も美味しく飲む上で重要な要素です。
・ゆっくり注ぐ
・ゆっくり口に含む
・ゆっくり味わう
・ゆっくり飲み込んで余韻を味わう
酒を飲む全ての所作を全てゆっくりにすると酒の味がよくわかります。
これは酒が舌の上を流れる速度が遅いことと、口の中で酒の温度が体温に近くなることが大きな要因です。
ビールや昔のように、クイッとグビグビでは舌の上を流れる速度が早く、体温と馴染み味わいが出てくる前に飲み込まれてしまいます。
日本酒に限らず、ワインも、ウイスキーも最高峰の酒は一瞬の味ではなく、継続的に杯を重ねるほど存在感を増していき、時間に作用していきます。
良い酒ほどゆっくり嗜みましょう。
◎味わいを可視化(グラフ化)する。
ワインソムリエのように酒の味を表現することはとても難しいことです。
メロンの香り、マスカット、酸、甘味、ヨーグルト、苦味‥と羅列してもなかなかまとまりませんし伝わりません。
また、酒を味と香りだけの一次元的に捉えてしまうので、酒の理解が狭まってしまいます。
そこで酒を時系列グラフ化して整理すると味の構成がわかりやすくなります。
縦軸が味の強さ、横軸が時間(ノージング、テイスティング、アフター)です。
最初は香りノージング→口当たり→口の中の香り、味わい→飲み込んだ後の余韻、つぎの一杯も同じようにして杯を重ねた時の印象も記入します。
こうすることで酒の味わい、香りを時系列ごとに理解することができ、そのお酒の全貌が見えてきます。
◎燗の付け方
天穏は繊細な味わいがいくつも折り重なって味わいが表現されています。
そのため、燗の付け方で大きく味わいが変化します。
基本は飲み方と同様にゆっくり温度を上げることです。
同じ目標温度60度でも、1分で10度から60度になったもの、5分で10度から60度になったものでは味わいに変化が出ます。
時間が短いほうが単調な味わい酸が多く感じたりアルコール感が出てきますし、冷めやすい。
時間が長いほうが味わいが複雑で繊細なニュアンスが残り、味わいも豊かになり冷めにくい。
水からゆっくり、またはお湯の温度を60度から65度に設定し、陶器や磁気で温めると効果的です。
錫やステンのちろりでも陶器の徳利に移し替えると保温されて同様の効果を期待できます。
燗の付け方もそうですが、良い結果を得たければ時間をかけるのが鉄則です。
普通酒と吟醸酒。
熱いシャワーを体に当てても温まらない、温泉なら低い温度でも体の芯から温まる。
最高の肉や魚を強火で一気に焼くのかゆっくり火を通すのか。
これらのメカニズムは数値としてなかなか解明できませんが、体感として誰もが理解できるものだと思います。